ピリオド

大学4年間で最後の授業が終わりました。
最後の授業がゼミで、僕の専攻である文学、そして一年のころからずっと師事してきた先生の授業であったことがとても嬉しかったです。

文学はあらゆる学問の要素をふんだんに盛り込んで成り立っているものだと個人的には思います。人は時代を生き、そして人が作り出す文学はその時代を反映します。また文学の中には喜怒哀楽、不安や絶望、そして未来への希望などを刻み込まれています。そういったことをひとつひとつ紐解いていきました。とても難解で途方もない作業ですが、実に挑戦のしがいがあるものでした。

文学はよく人の心の中の出来事、感情の出来事だからとてもあやふやなものだと思われがちですが、それは違うと僕は思います。確かに筆者は自分が得たimpressionを文章にしていきますが、文章の組み立ては実に論理的に行われており、それを理解するためにもまた論理的手法が用いられます。数字や科学の世界では論理性こそが絶対視されるのと同じく文学の世界でも論理性は欠かせないのです。文学が論理で武装するには膨大な知識が必要です。ですから読み手も論理学や経済学、社会学といった多くの学問にも手を伸ばさなければなりません。僕の場合は「原書を読む」→「関連図書を読む」これの連続でした。おそらくほかの学生もそうだったと思います。

文学=巧妙なロジックの世界

これが僕が4年間で実感したことです。
巧妙な文章は一旦読み始めると迷宮のように感じます。しかしひとたびロジックの光を見出せばたちまち目の前に一本の道が見えてきます。この道はあるときは作者の真意でもあり、またあるときは単なる作品解釈の一つであったりするのです。
これらの道を見つけたときの喜びは本当に何物にも変えがたいものです。

これでひとまず、学問的・専門的に文章を読むのは終わりになりますが、もともと本というものが好きなので、ずっと文学作品を読み続けていくでしょう。
自分がまだ読んでない本は過去にもたくさんあるし、そして未来では膨大な量の本が世に生まれていきます。人が一生に読める本は限られているのです。ですから一冊一冊の本にめぐり合えたことに感謝しながら、僕はこれからも一文学人でいたいと思います。